日時;8月23日(金)15時~16時半
場所;福田中学校
参加人数; 30名
各中学校生活指導担当教諭。支援学校教諭
挨拶;福田中学校 近藤校長先生
垂水区保護司会 芦田敏郎会長
司会;中山保護司
内容;「ある保護観察事例から」の研究会
事例ケース朗読;林保護司
各グループ7名程度で4グループに分かれて討議
その後、グループごとに発表しました
令和6年度「公開ケース研究会」講評
(概略)
広報部副部長 森 啓二
本日は忙しい中、熱心な討議及び発表ご苦労様でした。立場や経験が異なる方々が、一つのテーマに対し、お互いの考えや意見を述べ合う中で、自分自身の考えが深まったり、変化が生まれてきたりすることが、この研究会の意義だろうと思います。
学校では「生徒指導」の第一歩は「生徒理解」だと言われます。生徒をより深く理解していく中で、信頼関係が生まれてきます。そうなって初めて、生徒は自分の本当の気持ちを教師に話すようになってくるわけです。これは教師と生徒の間だけではなく、保護司と対象者との間でも同じだと言えるでしょう。
ただ、今、中学校には、いじめや不登校、児童虐待などへの対応という大きな課題があります。さらにはLGBTQ、発達障害など配慮を要する様々な生徒が在籍しています。先生方が、一人一人の生徒と深い人間関係を築いていくことは、物理的にも困難な状況になってきています。
今回のM君の場合、小学校での不登校、中学校でのいじめ、定時制高校の退学、アルバイト先でのパワハラ被害など、その都度先生方や多くの人たちと関りを持ったはずです。その中の一人でもM君と信頼関係を築くことができていたら、と思うと残念でなりません。
今学校は「起こってしまったこと」に対処するのではなく、「問題行動を起こさないような生徒を育てていく」という生徒指導に、重点を移しています。「情報リテラシー」や「薬物乱用防止」指導など具体的項目の指導に力を注いでいます。M君もこのような指導は受けてきたはずですが、残念ながら全ての生徒に教育の効果が出てくるわけではありません。
今再犯者の数は減少傾向ですが、それでも再犯率は47.9%(令和4年度調査)にのぼります。M君も保護観察期間に、保護司や彼を取り巻く人たちのだれかに、本当に心を開いて話ができる人が出てこなければ、彼もこの再犯率の数字の一人と成ってしまっていたはずです。
我々保護司が、対象者を担当するとき、成育歴や家族構成など詳細な資料を保護観察所からもらいます。ただそれは事実が列挙されたもの、本人の中学時代の本当の姿がなかなか伝わってきません。それで本当の様子を中学校の先生方にも聞いてみたいと思うことがあります。そんな時、中学校の方にも保護司の我々にも守秘義務があり、これは少し難しいかな、と思ってしまいがちです。しかしこのような壁を乗り越え、学校、保護者、地域、保護司が一体となり、これからの社会を担う若者達を健全に育てて行くため、関わっていく必要があると思われます。その意味からも、中学校と保護司会との連携をこれまで以上に深めていくことをお願いして、講評とさせていただきます。